・新しいタイプの洗剤(1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲

 子供の事故は死亡原因の重要な要因です。平成25年の死亡統計で不慮の事故とされているものは、0歳で4位、14歳で2位、59歳で1を占めています。事故の予防は病気の治療と同様に重要です。日常生活の中で何に注意を払うべきか、過去の事例が教えてくれます。小児科学会で報告される傷害速報を順次掲示して皆さんにお知らせします。家庭で何に気をつけたらいいかを考えていただけたらと思います。

日本小児科学会誌8月発行 から

新しいタイプの洗剤(1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)の誤飲

本洗剤(1回分パックタイプ洗濯用液体洗剤)は2014年4月から、粉末でもない、液体でもない第三の洗剤として発売されるようになった製品である。濃縮された洗浄力の高い洗剤の1回分を計量することなく選択層に入れる簡便な製品であり、水溶性フィルムに密閉されており(サイズは5×4×3cm)。水に濡れるとフィルムが溶け、内容が出てくるようになっている。米国中毒センターの報告によると2013年は5歳以下の乳幼児で10354件の事故例があり、増加傾向にある。本剤は高濃度であるため、通常の洗剤を誤飲した程度ではみられない頻回の嘔吐、呼吸障害、意識レベルの低下、また角膜損傷の事例などが報告されている。

事例1:1歳11か月女児

発生場所:自宅の洗面所

発生状況:5歳の兄が取り出し床にばらまいていたものを口に入れ、かじってしまった。泣き声で母が気づいたときは手にかじったあとのある本剤を握っており、製品は3分の1ほどなくなっていた。児は直後から苦しみ3回嘔吐した。最初の吐物は泡状であり、2,3回目は夕方に摂取したと思われるゼリーが出てきた。口臭が洗剤の臭いであったかは不明である。ごご10時15分に水を150mlほど摂取させ、午後10時30分頃に日本中毒情報センターに電話して相談したところ、医療機関への受診を勧められた。

医療機関受診した時は摂取後2時間以上経過。来院時は入眠中で、口腔内を含む身体所見に異常は認めなかった。その後飲水もでき、しばらく観察後全身状態の悪化はみられず、帰宅となる。その後20日後に状態を確認したが問題なかった。

事例2:2歳6か月男児

発生場所:自宅の洗面所

発生状況:洗剤は、ふだんは洗面所に設置したドラム式洗濯機の上の棚に置いていたが、当日は洗濯機の上にタオルを置き、その上に本剤を置いていた。詳細は不明であるが、タオルと本剤が床に落ちていたので、患児がタオルを引っ張ってしまい、タオルの上にあった本剤が床におちたのではないかと思われる。母親が泣き声に気付いて洗面所に行ったところ、手にかじりかけの本剤を握っており、口から洗剤独特の芳香剤の臭いがした。母親が発見した直後から複数回の嘔吐やよだれがあり、救急搬送された。

医療機関受診後の経過:全身状態はおちついており、補液を行うとともに牛乳を飲んでもらい3時間ほど経過観察の後、帰宅となった。その後10日後に状態を確認したが問題なかった。

【子供生活環境改善委員会からのコメント】

子供の生活環境に新しい製品が出回ると、必ず事故による傷害が発生する。同様の製品は海外25か国以上で販売されているが、有害事象の報告がなされている。米国中毒センターの報告によると2013年1年で本剤による報告が5歳以下の乳幼児において10,354件あり、増加傾向にある。本剤は高濃度であるため、通常の洗剤を誤飲した程度ではみられない頻回の嘔吐、呼吸障害、意識レベルの低下、また角膜損傷の事例などが報告されている。洗濯環境(水温、水の硬度、洗濯時間・様式)が地域ごとに異なっているため、今回の報告と米国などで販売されている洗剤が同一成分であるか否かは定かではないが、本邦の製品も濃縮された洗剤が使用されていること、今回の報告例で頻回の嘔吐がみられていることなどから、本邦の製剤でも米国と同様の問題を起こす可能性が高い。注意が必要である。